コラム

人事制度の改革が求められる理由とは?改革の手順や事例を解説

人事制度の改革は、人材を育成し会社を成長させるために重要です。人事制度を整えることで職場環境が良くなり、社員のモチベーションも高まります。

本記事では人事制度を改革する手順や実施する際のポイント、具体的事例について詳しく紹介します。

人事制度に求められる改革とは

人材は会社経営にとって重要な資源であり、人事制度を整えることが事業の発展のために欠かせません。人事制度の整備は職場環境を良くして従業員のモチベーションを高めるために必要です。

人事制度は主に等級、評価、報酬という3つの制度からなり、これらを見直すことが人事制度の改革につながります。

ここでは、人事制度の内容や改革のメリットなどを見ていきましょう。

そもそも人事制度とは

会社経営は「ヒト、モノ、カネ」という3つの資源から成り立ちます。そのなかでも事業目的の達成と事業拡大の要となるのは、「ヒト」にあたる人材です。人材の能力やモチベーションを向上させながら事業を進め、会社を成長させるのが人事制度の役割です。

近年は、働く環境の整備などで人事制度を見直すケースも増えています。創業から成長期に移行する過程の会社でも、人事制度の構築や改革が必要になることが多いでしょう。

人事制度の要素

人事制度は従業員の処遇に関する仕組みであり、処遇を決定する要素は主に「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3つです。

等級制度では能力のレベルや職務内容に従い等級を定め、社内での位置付けや給与を決める指標になります。

評価制度では従業員の成果や行動を評価する仕組みを定める制度です。報酬制度は給与・賞与などの報酬を決める仕組みで、等級および評価に基づいて決定されます。

人事制度を改革するメリット

人事制度の改革は、従業員のモチベーションを高めるというメリットがあります。適切な評価が行われ、それに基づいて報酬や等級が決められることで職場の環境が良くなり、働く意欲も高まります。

また、会社は人事制度の改革を通し、従業員に求めるものを明確に提示できるようになることもメリットです。従業員にとってやるべきことが明らかになり、効率よく仕事に取り組めるようになります。目標が定まることも、モチベーションを高める要素になるでしょう。

人事制度を改革するタイミング

人事制度は、創業から成長期に向かう時期、あるいは事業を拡大して経営規模が大きくなったときなどが見直しのタイミングです。

会社が成長して従業員が増えてくると、これまでの人事制度では対応できなくなる可能性があります。適切な人材管理で一人ひとりに十分な評価を行うために、より効率的な方法に改革しなければなりません。

また、働き方改革などによる社会全体の変化も改革のタイミングです。社会の変化を柔軟に取り入れていくことが、職場環境を良好に保ち会社経営をスムーズに進めるポイントといえるでしょう。

人事制度を改革する手順

実際に人事制度を改革するには、手順を踏むことが大切です。まず、現状を把握してどのような課題があるのか明らかにします。

課題が明らかになったら、その課題に対してどのような改革が必要なのか方針を検討していきましょう。具体的に設計した方針をもとに、各制度を見直していきます。

人事制度を改革する手順について、詳しく見てみましょう。

現状を把握して方針を明確にする

人事制度の改革には、現状の把握が必要です。現状を踏まえて課題は何かを洗い出します。課題の洗い出しは感覚的なものではなく、客観的なデータを集めなければなりません。

一例として、次のような調査が有効です。

  • 人件費と業績の相関関係を調査
  • 賃金水準の相場を比較
  • 管理職など評価する側へのヒアリング調査
  • 従業員へのアンケートやヒアリング調査

調査結果をもとに課題を洗い出し、どのような改革が必要なのかを検討します。その際は、企業理念の再確認も必要です。人事制度は、従業員とともに社会へどのような価値を生み出したいか、そのためにどのような人材になってほしいかという会社の考え方を表現するものだからです。

各制度を見直す

明確になった課題をもとに、各制度を見直します。まず、人事制度の中心となる等級制度から見直しましょう。等級制度を新たに定めることで、評価制度や報酬制度の見直しがスムーズに進められます。

等級制度にはスキルを評価の基準とする職能資格制度、職務により報酬額を決める職務等級制度、役割によって序列が変わる役割等級制度などがあり、自社に合う制度を導入することが大切です。

採用した等級制度に合わせ、評価や報酬の制度を見直していきます。評価は成果や行動が正当に反映されるよう配慮しましょう。

報酬制度では他社の水準も参考にしながら、妥当な内容を設計します。

人事制度を改革するポイント

人事制度を改革する際は、押さえておきたいポイントがあります。

まず、採用する人事制度は基準が明確で、公平性が保たれる内容でなければなりません。それぞれの役割に合わせた適正な評価項目や適切な評価、評価に応じた処遇が必要です。また、評価対象者へのフィードバックも適切に行いましょう。

人事制度を改革するポイントを2つ紹介します。

公平性を保つ

人事制度の改革では、公平性を保つことが重要です。成果が正しく処遇に結びつくようにしなければなりません。職種や役職、経験年数などに合わせた評価項目を設定し、客観的な評価と評価結果に対する適切な処遇が確保されるようにすることが大切です。

公平性を保つには、人事評価における曖昧さを排除する仕組みも欠かせません。事前の告知と明確な評価基準、具体的な評価ポイントを確立し、曖昧な部分を排除することを意識しましょう。

フィードバックを確保する

人事評価では、評価対象者へのフィードバックも大切です。人事制度の改革をしてもフィードバックが適切でなければ、運用効果が上がりません。フィードバックを正しく行うことで、従業員の仕事への意欲や取り組み方も変わってきます。

フィードバックにはポジティブなもの、ネガティブなものの2種類があり、上手に使い分けることが必要です。

ポジティブなフィードバックは、評価対象者の行動を肯定的にとらえて仕事に自信を持たせるなどの効果があります。

ただし、高い品質管理が要求される職種ではポジティブなフィードバックばかりでは対応できません。ミスを徹底排除するためのネガティブなフィードバックも必要になるでしょう。状況に合わせ、適切なフィードバックを行うことが必要です。

人事制度改革の事例

近年は働き方が多様化することで、人事制度の改革が必要になるケースが少なくありません。これまで人事制度の改革は多くの会社で実施され、一定の成果を上げています。

改革ではさまざまな方式が採用されていますが、そのなかでも従来と異なる方法として注目を集めているのがジョブ型人事制度です。

どのような方式の制度なのか、詳しく紹介します。

ジョブ型人事制度

ジョブ型人事制度とは、職務を明確にし、それに合う人材を採用する制度のことです。会社に必要な職務を明確にし、職務に合う人材を採用・育成して職務に応じた報酬を支払います。

日本ではこれまで主に、メンバーシップ型と呼ばれる人事制度を採用してきました。まず人材を雇用してさまざまな仕事を経験させてから適性を判断し、適した仕事に配置するという仕組みです。

メンバーシップ型は「適材適所」の考え方に基づく制度であるのに対し、ジョブ型人事制度は「適所適材」の考え方といえるでしょう。

ジョブ型人事制度では社内の職務内容や責任を明確にし、必要とする人材だけを雇用できるというメリットがあります。また、職務の内容や責任に応じた適正な賃金設定が可能です。

ジョブ型人事制度が注目される背景には、リモートワークの拡大など働き方が変わり、メンバーシップ型による評価が難しくなっていることがあげられます。エンジニアなど専門職の雇用獲得が激化しているのも、ジョブ型人事制度の導入が広がる理由のひとつです。

まとめ

会社経営にとって重要な資源である人材を育成するために、適正な人事制度の構築は不可欠です。成長期にある会社や事業規模が拡大している会社は、人事制度の改革を行うタイミングといえるでしょう。

人事制度の改革には、まず現状を把握して課題を洗い出し、制度ごとに適切な見直しを行うという手順が必要です。

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